地中棲カエルの飼育は、土を飼うと言っても過言ではありません。
地中棲のカエルは非常に癖の強い種が多く、カエル飼育の初心者・中級者にはオススメできないカエル飼育の鬼門となります。
飼育方法は、ある程度適した方法が判明しているものの、人工繁殖に繋がるほどの完全な飼育方法は確立しておらず、絶対に正しいと言える飼育方法が現状ありません。
1~2年は状態良く飼えても、カエルの平均寿命である5年10年を見越した長期飼育は非常に難しいとされています。
この記事の内容もあくまで基本的な情報のみに留めました。
愛らしい姿のアメフクラガエルや、キモ可愛い顔をしたパグガエルなど、人気が非常に高い種がいることも確かです。
しかし、長期飼育の不安に加え、飼っていても楽しくないというマイナス面をもっているため安易な飼育はオススメしません。
この記事では、
- 地中棲カエルとは
- 飼育がオススメできない理由
- 地中棲カエルの飼育方法
- 日常の管理や飼育の注意点
について可能な限り詳しく解説いたします。
あなたは土を愛する勇気がありますか。
地中棲のカエルとは
完全に土の中に埋まって生活しているカエルの総称です。
餌を捕るときと繁殖のとき以外は、地上に出てきません。
潜る理由は主に
- 乾燥対策(乾燥地帯の種)
- 食事対策(シロアリなどを食べる種)
- 外敵対策
のためだと言われています。
代表的な地中棲カエルは
- アメフクラガエル
- パグガエル
- アルゼンチンアナホリガエル
- スキアシガエル属(乾燥地帯に棲息するタイプ)
などです。
体の大きさは10cm以下の小型種が多く、カエルらしからぬ姿をしています。
地中棲カエルの特徴
地中棲カエルは
- 土掘りに適した体の構造をしている
- 日本に入荷する時期は、基本的に繁殖期のみ
- 生活形態をなかなか観察できないため、野生下での生態が解明されていない種も多い
などの特徴があります。
地中棲カエルの寿命
飼育下では5年~10年生きます。
アメフクラガエルは10年以上生きると言われているために
地中棲カエルも、多くがこうした平均寿命に該当するのでしょうが、
まだまだ飼育者人口も少なく長期飼育が難しいため、正確な寿命はわかっていません。
地中棲カエルがオススメできない理由
地中棲のカエルは、さまざまな面でペットに向いていません。
1番の理由は、カエルが土の中にいるため観察ができないという点です。
初心者がその姿に惹かれて安易に飼育を始めた場合、この現実に直面して絶望することとなります。
そのほかの理由としては、
- 乾燥タイプは日本の気候と相性が悪い
- 小さな餌のキープが難しい
- 土の湿度維持が難しい
- 生態が完全に解明されておらず、不明な点が多い
などが挙がります。飼育方法の項目で詳しく解説をいたします。
地中棲カエルの飼育方法
地中棲のカエルは、
- 乾燥を好む種類
- 湿度が必要な種類
のタイプが存在します。
必要な飼育道具は共通ですが、飼育方法が異なる箇所については各項目で注意点を解説いたします。
どちらのタイプの地中棲カエルでも、ケース内に土を入れて深く潜らせます。
飼育道具
必要な飼育道具は
- ケージ
- 土類(床材)
- 保温器具
- 水入れ
- 温度計・湿度計
です。
ケージは中サイズやMサイズと呼ばれるプラケースが最適となります。土の階層を分けるため25cm以上の高さがあるケージを使用するとさらに良いです。
土の飼育
地中棲カエルの飼育は、「土を飼う」と言っても過言ではありません。
飼育する種類の生息地を事前に調べて、乾燥タイプなのか、湿度が必要なタイプなのかを把握しましょう。
敷き詰める土は、湿り具合を3層に分けます。
- 乾燥気味の地層(表層)
(握っても手からパラパラと落ちる程度) - 平均的に湿っている地層(中層)
(握って団子になる程度) - 良く湿っている地層(底層)
(握ると手に付くぐらい)
この3つの地層を作成し、居心地の良い場所を選んでもらいましょう。
土はなんでも良いわけではありません。ここで使用できる土を紹介します。
ヤシガラ土
他の土と混ぜて使う補助土です。
通気性に優れているので、中層や上層の土に混ぜて使うのが効果的です。
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腐葉土
保水性が高く、底の床材や湿り気を好む種の床材として使用できます。
腐葉土は小さな虫が湧いてしまうデメリットがありますが、その虫が地中棲カエルの餌として使えるというメリットがあります。
バクテリアが豊富で糞尿の浄化力が高いです。
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鹿沼土
鹿沼土は吸水性・排水性に優れています。
細粒・小粒・中粒・大粒の種類がありますが、小粒・中粒のものを使用しましょう。大粒は大きすぎるため土に潜るのに苦労します。
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極小赤玉土
主に乾燥系の地中棲カエルにヤシガラ土やピートモスと混ぜて使用します。
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黒土
保水性に優れているため湿り気を必要とする種のメイン床材となる土です。
水はけが悪いとされていますが、ヤシガラ土と混ぜれば、水はけの良さと保水性を両立させることができます。
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保温器具
パネルヒーター
ケージの下半分~3分の1がかぶるように敷いて利用します。
土中は熱がこもるので、オーバーヒートに注意しましょう。
温室
一番確実で安全なのは、温室で飼育することです。
温室は園芸用のビニール温室で作成が可能です。熱源が下に来る構造では、上部ほど温かく下部ほど寒くなる為、温度計を棚の分だけ用意すると安心できます。
温室飼育をする場合は、合わせて暖突などのヒーターとサーモスタットが必要になります。
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パイプ
地中棲カエルを飼育していると、底の土だけを湿らせる必要が出てきます。
低部への給水管として、ビニールパイプをあらかじめ差しておくことで、効率的に底だけに給水できます。
パイプに入れた水が無くなる速度が速い程、底の土が乾燥している為、底土の湿り具合の判断材料にもなります。
Mサイズのプラケースなら1本あれば十分です。
カエルが間違って入れない程度の太さのパイプを選びましょう。
水入れ
水入れは浅いものを使用します。
乾燥系のカエルでは不要な場合もありますが、念のため入れておいた方が突然の乾燥死を防げます。
湿度が上がり過ぎてしまう時には取り出しましょう。
土から直接水分を取り込む種も多い為、頻繁に使用した形跡が確認される時には、底の湿り具合を見直す必要があります。
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温度計・湿度計
温度計はセンサー部分を土の中に差して使用します。
可能であれば地層ごとに設置して、各々の温度を把握したいです。
保温中は熱が籠りがちなので、底から温めるシートヒーターを使っている時には十分な注意が必要です。
乾燥系のカエルの場合は、日本の多湿な環境とは生理的に合っていないため
常時湿度が高い状態だと、簡単に調子を崩してしまう点に注意をしてください。
エサの与え方
口に入る生きた餌ならなんでも食べます。
- フタホシコオロギ
- イエコオロギ
- デュビア
- レッドローチ
は入手が容易ですが、地中棲カエルは口が小さく、小さなサイズの虫しか食べられません。
サイズは羽化直後〜SSサイズを使用します。
餌昆虫が成長して大きくなってしまうと、餌として認識しなくなります。
頻度・サイズ
餌は数日に1度、口に入るサイズの餌を数匹~数十匹を地表にばら撒いて給餌します。
夜間に活動しエサを捕食することが多いので、給餌は消灯前に行うのがベストです。
昆虫だけではカルシウム不足になるため、下記サプリメントを使用してください。
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餌付いていない場合の対処
生活の大半を地中で暮らすカエルは、ばら撒いた餌に反応しないことがあります。
野生下では土の中でシロアリや土壌生物を捕食しているため、地上に出ることを知らない可能性があるためです。
- エサに反応しない場合の餌付け対処方法をご紹介します
- 数日間しばらく触らずに土に潜らせる
- 優しく掘り返し、土が入っていないケースに移動させる
- 10分~30分そのまま放置して落ち着かせる
- SSサイズのコオロギにサプリメントをまぶして白くした餌を(シロアリに似せる)ケース内に落とす
- 食べても食べなくても、数分後に元のケースに戻す
この方法で、初期の餌付けを行います。
掘り返すとそれだけで恐怖を覚えてしまうことがあるため慎重に行なってください。
慣れて来ると地表のエサが歩く振動を感知して出てきたり、顔だけ出して餌を待つようになったりします。
温度・湿度について
特殊なカエルを除き、温度は23~26℃を維持しておけば大丈夫です。
土の中は熱がこもるためオーバーヒートに注意しましょう。
湿度は50%~60%前後が目安となります。
乾燥系の場合は、湿度が50%を超えると調子を崩すことがあります。
梅雨時などの、常時空中湿度が高い時期には、水入れを取り除き、いつもより土壌の保水量を減らすなどの対処が必要です。
お掃除・日頃のお世話
糞が上層に転がっていたら、ピンセットで取り除いてください。
土の種類、湿度、糞尿による汚れ等を完全にコントロールする必要があります。
各層の湿り具合を観察して、乾燥し過ぎているようなら給水しましょう。
とくに問題が無くとも、1か月~2か月に1度は土の全取り換えと、清掃が必要になります。
飼育の注意点
頻繁に掘り起こすことは控える
掘り起こした直後に、目の前で餌をパクパク食べてくれるような個体でも、ストレスになっているかもしれません。
掘り返すのは土の取り換え時や、初期の餌付け時など必要に迫られた時のみにしましょう。
土の中に潜りなおすことでも体力を消耗します。
土以外のレイアウト品を入れない
石やシェルターなどを入れると、カエルが掘り返した時に崩れ、土中で下敷きになってしまう事故が起こります。
まとめ
地中棲のカエルは、飼育を始めても姿を見る事ができず、ペットとしてはまったく向いていません。
見た目に惹かれての安易な飼育は、絶対にやめておきましょう。
その可愛らしい姿は、自宅に招いてもほとんど見ることはできません。
爬虫類両生類飼育の醍醐味である給餌は楽しめず、ばら撒いた餌が夜間にひっそりと消費されているだけ。
日常の管理もほぼする事がなく、土が入ったケースが置いてあるだけに見えてしまいます。
- 飼育を始めても姿を見る事ができない
- 小さな餌の維持が大変
- 管理の基本は土の湿度維持
- 土を飼育する
上記を念頭に入れて、そんな飼育も楽しめるか検討してみてください。
以上、「あなたは土を飼育する勇気がありますか?地中棲カエルの飼育方法」でした。
