地上棲のカエルには、初心者でも扱い易く入手も容易な種類が多く、
初めてカエルを飼う方には、特にお勧めできるカテゴリの1つです。
カエルは気難しい生き物で、飼育が容易な種類であっても、なにも知らずに飼える生き物ではありません。
基本的な設備を間違えていたら、それだけで命に関わる致命的なミスになってしまいます。
この記事では、地表を主な生活の場とするカエル達の、基本的な飼育設備と管理について解説いたします。
飼育の注意点やコツにも触れて行きますので、最後までお付き合いいただけましたら幸いです。
地上棲のカエルとは
特徴
地表を主な生活の場とするカエル達の総称です。
大きな特徴としては、
- 吸盤がない、あるいはあまり発達していない
- 指が短く掴む事が苦手
- 立体行動も苦手
- 泳ぎも得意ではない
ということが挙げられます。
地上棲カエルの寿命
種類や生息地によって最大寿命は様々ですが、飼育下では約6年~10年以上は生きます。(参考 Wikipedia Ceratophrys)
温帯地方に住んでいる種は冬眠や休眠を挟むため、熱帯に棲息している種と比較して寿命が長くなる傾向にあります。活動が止まる期間が長い種ほど、その分性成熟が遅れると考えられています。(参考 年周リズムを刻む冬眠制御分子と寿命(Session II:寿命,動的システムの情報論 6) )
地上棲のカエルのタイプ
同じ地表種でも、種類によっては好む環境がガラリと変わるのも特徴です。
地上棲のカエルには、
- 乾燥を好む種
- 湿度のある環境を好む種
の2タイプがあります。
多くの種類がカエルらしく湿度を必要としますが、ヒキガエル属のほとんどは乾燥した環境を好みます。
飼育方法
飼育に必要な飼育用品
飼育に必要な用品は下記の通りです。
- ケージ
- 床材
- 水入れ
- シェルター
- 保温器具
ケージ
広いケージであるほど
- 水質の汚れが穏やかになる
- 居心地が悪いときやストレスを感じたときに移動できる
というような利点があるため、最低でもカエルの大きさの4倍以上の底面積があるサイズのケージを使用してください。
ケージを選ぶ際のポイントとしては
- 通気性の良い
- フタが閉まる
ケージが良いものです。
カエルは地表種に限らず、基本的に空気が淀むのを嫌います。
「湿度は高いけれど蒸れない」環境が理想的で、通気性が良いケージがベストです。
脱走を防ぐ為にも、必ず蓋がキチンと出来るものを使用しましょう。
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床材
オススメの床材
全体的な環境のイメージとしては、林床や湿った草地を想定した物を再現します。
床材にはバクテリアによる自浄作用があり、カエルの出す糞便や老廃物を分解してくれる土類を選びましょう。
ツノガエルのみ、まめに掃除をするのであれば、スポンジシートやウールマット等の人工素材でも代用が利きます。
湿度を高める方法として床材の上にミズゴケを敷くのも効果的です。
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床材の使い方
床材はカエルの体高と同じか7割程度の厚さを基準に敷き詰めます。
保温器具
カエルの飼育温度は25~30度を目安に設定をしますが、20度切る場合はカエルにとって死活問題となります。
保温器具は不本意に生体を死なせてしまうことを防ぐための飼育器具です。必ず用意をしましょう。
オススメの保温器具は底面や壁面に張れるシート状のパネルヒーターです。
ケースの半分から3分の1程度にパネルヒーターを敷き、個体が熱から逃げられる場所を作るようにします。
爬虫類・両生類用のサーモスタットを使うと、オーバーヒートを防ぐことができます。
シェルター
土の中に隠れるタイプのツノガエルなどにシェルターは必要ではないです。
しかし、人間との生活に慣れていない野生個体などでは落ち着けるためにシェルターが必須となります。
カエルの全身が隠れられる程度の大きさのシェルターを選びましょう。
シェルターは爬虫類両生類専用の物が一番安全です。
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水入れ
水入れの必要性
水入れは風呂場と水分補給を兼ねている、カエルにとっての生命線でもあります。
水分の補給のみならず、脱皮の皮や老廃物などを落とすときの入浴としても使われます。
水入れの選び方
大型爬虫類の飲み水入れや、浅くて広いタッパーなど、カエルの全身が浸かれて無理なく出て来られる深さの物を使います。
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地上棲カエルの餌
爬虫類や両生類で使用されている餌昆虫や、一部の肉類、人工飼料など様々な物が利用可能です。
- イエコオロギ
- フタホシコオロギ
- ピンクマウス
- デュビア
- レッドローチ
- 肉片(鳥の胸肉やささ身、ハツ等、なるべく脂身の少ない肉類)
- ピンクマウス(毛は消化できず糞詰まりの原因にもなる為、Lサイズまで)
- 魚類(ドジョウや金魚、メダカ等)※利用できるのは主にツノガエル系
- 人工飼料(パックマンフードなどの各種ツノガエル用餌や、大型肉食魚用の固形飼料) ※利用できるのは主にツノガエル系
ピンセットからの給餌に慣れたツノガエル類は人工飼料も食べます。
ツノガエル用の餌も各種販売されておりますが、固形飼料よりも、成長に合わせてサイズを自由に変えられる、練り餌タイプがお勧めです。
万能餌として配合されているものもあり、餌付いてしまえば、その餌のみで終生飼育および繁殖が可能な物もあります。
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エサの与え方
基本的には1度の餌は、頭の半分から7割程度の大きさを限界値にして与えます。
与えるときは栄養失調にならないように、専用のサプリメントを添加します。
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ベビーサイズ
毎日~3日に1回程度。
「1週間毎日コオロギを1匹ずつ与えた場合、次の週は3日に1回にする」などで、調整しましょう。
ヤングサイズ以降
3日~1週間に1度。
完全にアダルトサイズになってしまえば、1週間~10日に1度でも十分です。
あまり細かくならずとも、大雑把な間隔で与えるのがベストです。慢性的な与えすぎにだけ注意すれば、状態良く飼育できます。
明らかに腰骨が浮き腕や足がガリガリになっている場合は栄養失調です。餌の回数や分量を増やして対応しましょう。
エサを食べません。
餌への反応が悪い時は、
- エサのサイズを下げる。
- 給餌の1時間~2時間ほど前に霧吹きをする
- 様々なエサをローテーションさせる
ということを試してみてください。
ピンセット給餌のコツ
ツノガエルの様に、飼育を始めた当日にピンセットから食べてくれる様なカエルは稀です。1か月ほど飼育を継続した辺りから、ピンセットによる給餌を試してみましょう。
ピンセットから餌を食べない理由は、人間を恐れているだけでなく、ピンセット自体も餌の一部とみなされ、大きすぎて餌として認識できていない事があります。
シェルター内にいるカエルには、視界にピンセットが入らぬよう、餌昆虫を摘まんだ先だけを見せるように、シェルターの横から試してみましょう。
特に揺らしたりせずとも、摘まんでいる餌昆虫が勝手に暴れてくれるので、そのまましばし、様子をみてください。
10秒以上経っても食いつく素振りがない場合や眼を閉じてしまったら確実に恐れている段階です。潔く次の機会に試しましょう。
餌の与え方の注意点
人間が離れてしばらくしても、眼を閉じて身を縮めたままなら、人ではなく餌の虫を恐れている可能性が高いです。即取り出して中断しないと、餌昆虫へのトラウマに繋がりかねません。
特にコオロギは、ケース内で生きたままだとカエルを攻撃することもある危険な餌です。
ツリーフロッグの様に、壁面に逃げられない地表種はトラウマになり、同じ餌だけでなく、動きや色合い、姿形が似ている餌にまで反応しなくなることがあります。
1度拒食してしまった個体は、強制給餌しか受けつけないようにもなりかねません。心配である場合は、デュビアやレッドローチなど、反撃の恐れが低い餌昆虫で試しましょう。
不向きなエサ
餌昆虫の一つである、ジャイアントミールワームはカエルの餌としては不向きです。
表皮が硬く消化し辛い上に、顎の力が強く、胃を破かれてしまう事もある危険な存在です。
温度・湿度について
温度は25~30℃をキープしつつ、湿度は60~70%を維持しておけば状態良く飼えます。
そうした基本値から外れた種類は、あまり初心者向けではない生態を持つ種類と判断します。
20度を下回ったら消化に甚大な影響が出るため、その場合は適温に戻るまで給餌を中止しましょう。
カエルは1週間や2週間食べなくても死にませんが、餌を食べて消化が出来ずに死ぬことは多々あります。
お掃除・日頃のお世話
体の長さと同じぐらい巨大なフンを出すこともあるカエル達なので、フンは見つけたら即取り除きましょう。
状態の良いフンは、土に水分を吸収され、黒く固まったウインナーみたいな形をしています。
フンや食べ残しを放置しつづけると、カビが生えてきます。細菌のみならずカビのような真菌もカエルの病気を引き起こす大敵です。
ケージ内にカビが少しでも確認されたら、完全に掃除して新しい床材と入れ替えます。
床材のお手入れ
床材は綺麗で問題がなさそうでも、1か月程を目途に全て取り換えます。
ミズゴケを使用している場合も、2〜3週間を目安に定期的に取り換えましょう。
水入れのお手入れ
水入れの中で糞尿をすることも少なくない為、綺麗なままだったとしても、可能な限り毎日交換するのが理想です。
糞尿をそのまま放置すると、臭いを発するだけでなく、次に利用したときにカエル自身が自家中毒を起こす可能性があります。
メンテナンスで使える飼育用品
カエルの飼育メンテナンスに使える用品に関しては、こちらにまとめてありますのでご参照ください。
注意点
多頭飼育は基本的にNG
地上棲のカエルだけでなく、ほとんどのカエルは単独飼育が基本となります。
(ヤドクガエルなど、一部の小型種であれば、ケージの広さによっては共存可能です)
サイズ差があれば共食いに発展したり、同サイズでも縄張り意識から多大なストレスを抱えたりと、
同じケースで複数を飼っても、デメリットばかりが目立ちメリットがほぼありません。
ケース内に数が増えると掃除の手間も増え、狭い中で排便が重なると、自家中毒を起こすこともあります。
まとめ
地上棲のカエルであれば、多くの種が今回ご紹介した方法で飼育可能です。
地上棲のカエルの中には、ツノガエルのように人工繁殖が進んでいる種もおり、
カエル飼育の入門種としては大変お勧めです。
- 床材、ケージ、水入れの清潔さを常に維持する
- 無理なく食べられる大きさと量を与える
- 餌コオロギの放置は、カエルが襲われるリスクがある
- ジャイアントミールワームのような、消化が悪くて攻撃性能の高い餌は与えない
- 多頭飼育はしない
ことに気を付けて、飼育を始めてみてください。
以上「初心者でも飼える!地上棲カエルの飼育方法」でした。