水棲のカエルは、カエルの中でも飼育がしやすい方に分類されます。
一生のほとんどを水中で過ごす彼らは、日本国内には居ないカエルで、日常の管理や扱い方の想像がつきにくいかもしれません。
特異な姿や変わった生態を持つ種類も多く、飼育の難易度も相応に高いと思われるかもしれません。
しかし、基礎さえしっかり押さえておけば、樹上棲や地上棲のカエルと比べて簡単に飼育できます。
この記事では
- なぜ飼育が簡単なのか
- 水棲カエルの飼育方法
- 起こりやすいトラブル
を詳しく解説していきます。
水棲のカエルとは?
一生をほぼ水中で過ごすカエルの総称です。
自然界では外敵に襲われた時などに陸へと逃げる事もありますが、
ペットとして飼育する場合は水場だけで終生飼育が可能です。
代表的な水棲カエルは
- ピパピパ(コモリガエル)
- バジェットガエル(マルメタピオカガエル)
- アフリカツメガエル
- ヘルメットガエル
- ミズガエル
が挙げられます。
水棲カエルの特徴
水中生活に特化したカエルは「後ろ足の水掻きが大きく発達している」という特徴があり、カエルによっては擬態や隠密性に優れていたり、水の動きで獲物を感知する側線が発達したりしています。
水棲のカエルは主に水の流れが穏やかな浅瀬で生活しています。
水棲カエルの飼育が簡単だという理由
水棲カエルの飼育が簡単だと前述しましたが、その理由はいくつかあります。
水棲のカエル飼育では、他種のカエルでは難所となりやすい部分が、生活スタイルによってクリアされるためです。
具体的には、
- カエル飼育の必須項目である湿度管理、蒸れ対策が必要ない
- 脱皮不全を起こしにくい(仮に個体が失敗しても、水中で勝手に剥がれてくれる)
- 衛生管理はほとんど水換えだけで済む
- 魚類や人工飼料だけで育てられる
- 水温管理はサーモスタットで簡単にできる
こうした利点が挙げられ、他のカエルに比べて飼育がしやすいのです。
水棲カエルの寿命
国内で流通している水棲カエルは、平均して5年~10年の寿命があります。
飼育し易く丈夫なため、20年以上生きるケースも少なくありません。
水棲カエルの飼育方法
飼育に必要な飼育用品
水棲のカエルはシンプルな環境で飼育が可能です。
必要になるのは大きく下記の3つです。
- ケージ
- 保温器具(サーモスタット&ヒーター+ヒーターカバー)
- 塩素の中和剤
ケージ
水槽で飼育は可能ですが、メンテナンスの用意性を考えるとプラケースが最も効率的です。
水棲のカエルは底砂を入れないベアタンク式で飼育します。
どんな飼い方をしても頻繁に水換えが必要となるので、砂利や砂でレイアウトすると、メンテナンス効率が非常に悪くなります。
ケージのサイズ
横幅がカエルの体長の3倍から4倍ある物を使用しましょう。中サイズ以上のプラケースを使用します。
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水の深さ
水深は立ち上がって無理なく顔が水面に出せる程度にします。
水深の調整は難しいですが、慣れない内はレンガやブロックなどで段差を作り、カエル自身に好みの深さを選ばせるような環境で飼育してみましょう。
保温器具
熱帯魚用のサーモスタットと水中ヒーターが便利です。
ヒーターは火傷の恐れがあるため、ヒーター部分には必ず専用のカバーを付けましょう。
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塩素の中和剤
飼育に使用する水道水は、念のため塩素の中和剤を使った方が無難です。
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エアレーション
カエルは肺呼吸なので、エアレーションは基本的に不要です。
エアレーションを使うと、泡を餌だと思って飛び掛かってしまうことが多々あり、カエルのストレスが増えるだけのマイナスとなります。
水棲カエルのエサ
具体的に、水棲カエルには下記のエサが使用できます。
- 魚類(金魚、ドジョウ、メダカ等)
- エビやカニ等の甲殻類(川エビ、モエビ等)
- レプトミン各種(カエルのサイズが大きくなるに連れ、使いづらくなる)
- ツノガエル用の各種人工飼料(サイズを自由に変えられる、練り餌タイプがお勧め)
- 肉食魚用の配合飼料(ナマズやアロワナ等の餌)
おやつとして
- コオロギ
- デュビア
- 肉類(ささ身、鳥の胸肉、砂肝等、脂身の少ない物)
が使用できます。
自然界では、海水産の獲物に遭遇することがないためです。
エサの与え方
与えるエサのサイズ
カエルが無理なく飲み込めるサイズの餌を与えます。餌のサイズの目安は頭の半分程度~7割程度の大きさです。
エサの頻度
ベビーサイズなら2日~3日に1回、アダルトサイズなら10日に1回で十分です。
ピンセットに慣らすまで
ピンセットからの給餌に慣れれば、生き餌だけでなく人工飼料を与える事も可能になります。バジェットガエルなどの物怖じしないタイプのカエルであれば、簡単にピンセット給餌へと移行可能です。
- 最初はバラマキ給餌。魚類や甲殻類をケースに1匹~3匹程度を入れておき、減っていたらエサを追加する形で給餌します。
- 1か月ほど人間の生活音や動きに慣れさせてから、ピンセットでの給餌を試します。
カエルはお腹が満ちていても、餌があればあるだけ食べてしまう習性を持っています。
食べるから大丈夫だろうとたくさん与えてしまうと、消化不良で嘔吐した挙句に死んでしまうこともありえます。
可能な限りピンセットでの給餌に慣らして、明確なフードコントロールができる状況にしておくのがベストです。
給餌の注意点
始めて人工飼料を使う時には、いつもの半分以下の量を与えて、徐々に大きさや量を増やしていきましょう。
個体によっては想定以上に消化に時間がかかる事もあり、ガス溜まりや消化不良を起こすこともありえます。
人工飼料は、同種のカエルでも常にガスが溜まってしまい使用不能な個体と、問題なく消化して糞にできる個体でかなり差があります。
飼育している個体に合うかどうかを見極めるために、必ず少量から始めて様子をみてください。
体が膨らんでいるとき
個体の体質や与えすぎが原因で、体内にガスや空気が溜まり、体が大きく膨れてしまうことがあります。
膨らんだ状態では、床の底に沈めなくなり、個体に大きなストレスを与えてしまいます。
しばらく食欲が止まるだけなら良いですが、姿勢が極端に傾くこともあり、溺れてしまう危険も出てきます。
体にガスが溜まって遊泳に問題が生じたら、水深を体高の2倍程度まで下げて、簡単に息継ぎができるようにして様子を見ましょう。
ガス溜まりはしばらくすれば元に戻る事がほとんどですが、この時は多大なストレスから免疫力が大幅に低下しています。
ガス溜まりから細菌感染に繋がってしまう危険もあるため、いつも以上に衛生面に気をつけてください。
おやつの注意点
コオロギやデュビアなどの餌昆虫は、水棲のカエルにとってあまり良い餌とは言えません。
自然界では水棲昆虫を食べる事はあっても、陸の昆虫を食べる機会は少ないためです。
肉類は
- 栄養のバランスが悪い
- カロリーが高いため肥満になりやすい
- 水質を悪化させる
というデメリットがありメイン餌としては不向きです。
温度について
温度は23度~30度を維持してください。サーモスタットの設定を25度~28度ぐらいにしておけば良いでしょう。
ヘルメットガエルのように低温を好む種や、ミズガエルの様に標高の高い湖に棲むカエルなどであれば、
個々に適した温度設定が必要になりますが、そうした種類は気難しい種も多く、あまり初心者向けとは言えません。
温度の注意点
他タイプのカエルと違い水棲カエルは、サーモスタットを使う事で安定して設定温度を維持できる為、温度管理についてはそれなりに安心できます。
とはいえ、極寒期や極度に冷え込んだ朝などは、設定温度から大きくズレが出ることもあります。
サーモスタットを使っているからと油断せず、当日の気温や水温の状態で柔軟に対応しましょう。
温度の上下でストレスを感じているときに餌を与えると、エサを消化しきれずに死亡することがあります。
冬場は餌の回数を半分にしたり、設定温度まで上がるのに時間がかかった日には給餌を見送ったりすることで対応をします。
お掃除・日頃のお世話
水換えのタイミングは
- 糞を確認したとき
- エサの食べかすにより汚れたとき
- 脱皮した皮が漂っているとき
- 毎日・最低でも3日に一度
です。
水換えは
- 水を捨てる
- 軽くすすぐ
- 水を元の水位まで入れる
という簡単なものでOKです。
3週間~1か月程、水換えを続けると、壁面に水垢や老廃物が付着して曇ってきます。壁面が曇ってきたらスポンジを使って綺麗にしてください。
可能であれば熱湯やアルコールで消毒をします。
見た目に綺麗でもプラケースには細かい傷がついていて、そこに細菌が溜まっていることがあります。
飼育の注意点
誤飲の可能性があるレイアウトは避ける
ただ水を入れるだけの飼育では味気ないと、ビー玉や小さな石などを入れる方が居ますが、
これらは誤飲の可能性が高い、非常に危険なレイアウトです。
どうしてもレイアウトをしたいのであれば、カエルが飲み込めないサイズの物や、飲み込んでも排泄できる砂や生きた水草などを使いましょう。
多頭飼育は基本的にNG
必ず1ケースに1匹の飼育を心掛けましょう。
ピパピパやアフリカツメガエルなど、ごく一部の種類なら多頭飼育が可能な種も居ますが、
同サイズでも腕や足の齧り合いを頻繁にするため、単独飼育をオススメします。
まとめ
水棲カエルの飼育方法について詳細に説明をしました。
- 水棲カエルは、立ち上がって無理なく顔が出せる水深で飼育をする(可能であれば水深を選べる様な段差を作る)
- 餌は魚やエビなどの甲殻類。慣れればピンセットから人工飼料も食べる
- 水換えは基本的に毎日するのが望ましい
- 糞を確認したら水換え直後であっても即水換え。衛生面の徹底が長期飼育のコツ
- 飼育温度は23度~30度
- 多頭飼育は基本的に厳禁
上記のことに気を付けて、飼育を始めてみてください。
以上、「初心者でも飼える!水棲カエルの飼育方法」でした。
